初夜で妻に「君を愛することはない」と言った私は、どうやら妻のことをめちゃくちゃ愛していたらしい


「ステファニー、私が悪かった」
「……」
「その、許してくれ。君がこんなふうに泣くなんて思わなかったんだ」
「……」
「なぁ、ステフ。いつもみたいに笑っていてくれよ」
「無理ですわ」
「え?」
「いくらわたくしが全面的に悪いとはいえ、マイケル卿は残酷です」

 彼女が涙に濡れた瞳でキッとこちらを睨みつけてきて、私は目を丸くする。

「わたくしだって、人間です。失恋してすぐ立ち直るなんて無理ですわ」
「……え?」

 失恋?
 誰が、誰に?

「だから、わたくし失恋しましたのよ。10年以上好きだった方に、今後愛することはないと振られたのです」

 ステファニーはそんなことを言われて振られたのか。
 そういえば、昨日私も彼女に同じことを言った。
 つまり、彼女は私に振られたのか。

 どういうことだ。

 同じようなことを毎日言っても、彼女は私に振られていなかったのに、昨日の夜は、私に振られたのか?

「しかもわたくし、その方に好かれていると勘違いして、10年以上かけてその方の心を折って、わたくしとの結婚まで追い込んでしまったんです。……心の整理がつくまで、放っておいてくださいませ」

 そう言って、はらはらと涙をこぼす彼女に、私は唖然としたのだった。

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