初夜で妻に「君を愛することはない」と言った私は、どうやら妻のことをめちゃくちゃ愛していたらしい


(なんなんだ、この二人は。私とステファニーを仲直りさせるつもりはあるのか!?)

「もういい! 自分で考える!」
「ふふ、それがよろしゅうございますね」
「ああ、若旦那様。妹御お二人から伝言と贈り物がありますよ」
「な、何ッ!?」

 そう言って老執事が差し出してきたのは、また数冊の本だった。


『初夜に【君を愛することはない】と言われたので喜んだら、夫が私を溺愛してくるようになりました』

『初夜に【君を愛することはない】と言った旦那様は、ヴェールを外した私の姿を見て5秒で発言を取り消しました。どういうことですの? 一目惚れ? え?』

『初夜に【君を愛することはない】と言われたので旦那様を無視して義理の娘と楽しく過ごしていたら、旦那様が仲間に入りたそうにこちらを見ています。女性恐怖症とのことですから、無理しなくてよろしいんですのよ?』

『初夜に【君を愛することはない】と言う非常識野郎に、配慮と思慮が足りないと再教育をしていたら、なんだか愛されるようになってしまいました』


「こ、これは……まだあったのか……!」
「まあまあ、『愛なし初夜シリーズ』ではありませんか! ご婦人、ご令嬢に大人気の書籍ですのよ。私も全巻持っていますわ」

 メイド長、お前もか!

「若旦那様、妹御お二人からのメッセージです。『この本を読んで、仲直りの秘訣をよくよく勉強しなさい』とのことです」
「……」

 私は差し出された本をパラパラとめくる。

(……処刑……されてない…………されていないぞ! どちらかというと、これは元鞘じゃないか!?)


 初夜に同じ台詞を吐いたというのに、今回の書籍の夫達は処刑されていない。
 妻に怒られはしたものの、最後は円満な夫婦関係を築き上げている。

 この違いはなんだ。どこからくるんだ?
 昨日の書籍との違いはなんなのだ……。

< 41 / 104 >

この作品をシェア

pagetop