初夜で妻に「君を愛することはない」と言った私は、どうやら妻のことをめちゃくちゃ愛していたらしい


(むふふふっ、ミッチーとお揃い……!)

 焦茶色になった髪の毛をくるくると指に絡めながら、わたくしはニヤニヤと姿見を見つめます。わたくし、ベリー色の瞳もなかなかに似合っていると思うのです!
 その髪の毛を、三つ編みにしてくるりと頭の後ろで束ね、暗い紺色のボンネットを深く被ると、いい感じに目立たない街娘感が出てきました。

(お化粧も控えめにして、そうそう自然な感じに……)

 いつもであれば金色の髪に映える真っ赤なルージュをひくところを、今日は桜色の控えめルージュで抑えます。
 そうして、庶民の買い物カゴを持って、ベージュのシャツに紺色のシンプルなスカート、安物の焦茶色の編み上げ靴を履いたら、簡素なモブ街娘の出来上がりです!

(完璧ですわ!)

 出来栄えに満足したわたくしは、くるりとスカートを翻しながら窓辺に向かいます。
 トントン、とジャンプしながら、アップを始めたわたくしは、3階にあるこの自室の窓から庭を見下ろしました。

(よし、誰もいませんわね)

 わたくしの得意魔法は闇魔法。自重を調整したり、音を立てにくくするといった隠密魔法はお手のものなのです。先程の髪と瞳の色を変えた光魔法の方が負担が大きかったくらいですわ。
 わたくしは自重を軽くしながら窓から飛び降り、ふわりと庭に降り立ちました。

(よし、ミッチーに追いつかないと!)

 こうしてわたくしは、ウキウキと心を躍らせながら、護衛もつけずにたった一人でミッチーの跡をつけるという冒険に繰り出したのです。

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