初夜で妻に「君を愛することはない」と言った私は、どうやら妻のことをめちゃくちゃ愛していたらしい


(わたくし、ここに何をしにきたのかしら)

 ミッチーは、わたくしとの結婚式が迫れば迫るほど、焦ったような思い詰めたような顔ばかりしていました。彼はわたくしと結婚することに関して、とてもプレッシャーを感じていたようなのです。
 それが最高潮に爆発したのが、初夜でのあの「お前を愛することはない」発言だったのでしょう。
 そのあと、ミッチーは不慣れな発言を繰り返し、わたくしに謝ろうと頑張ってくれていましたが、いつだって無理をしたような顔をしていました。

(彼がわたくしを愛していないということは、きっとないですわ……。だけど……)

 流石にわたくしにも、もう分かっています。
 この休暇中、ミッチーはわたくしのために頑張ってくれました。
 ミッチーはわたくしのことを、彼なりに愛してくれている。
 そしてわたくしは、焦って無理をして恥じらっている彼を見るのが大好きです。
 けれどもわたくしは、彼が安らぐことが全くできないような結婚生活を強要したいとまでは思っていないのです。
 彼がわたくしといて、本当に幸せになれないのなら……。

 視界が歪んだかと思うと、ぽた、とテーブルに雫が落ちました。
 いやだわ、雨でも降ってくるのかしら。
 こんなことをしていないで、早く帰らないと……。


 そう思って顔を上げると、パチリと向かいの店の店内にいるミッチーと目線が合いました。


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