初夜で妻に「君を愛することはない」と言った私は、どうやら妻のことをめちゃくちゃ愛していたらしい


 ミッチーは背丈も肩幅もあるので、人混みの中にいても一つ頭が飛び出していてとても目立つのです。
 なんだか、その目立つミッチーが、店を出てわたくしの方向にずんずん向かってきているように見えます……。

(どういうことですの? あの状況で、わたくしがステファニーだと気がつく訳が……)

 わたくしのお忍び技術は結構な腕前です。
 知り合い何人かを相手に、気がつくかどうか試したことがありますが、皆わたくしが直接声をかけるまで気が付くことはありませんでした。
 となると……。

(今のわたくしの見た目が単に、好みだから……?)

 じわーっと瞳に涙が浮かんできます。
 今のわたくしは、普段のわたくしと違って、地味目な髪の色に桜色のルージュの、まさにミッチーが憧れている清楚系かわいい令嬢です。
 黙っていれば、彼の好みドストライクなのかもしれません。
 ……黙っていれば。

 こぼれ落ちてくる涙を無視して、わたくしは必死に足を動かします。

 そうしていると、目の前に若い街娘たちの集団が現れました!
 どうやら何かの習い事の帰りのようです。わたくしはその集団に紛れながら、おそらく目印となっているであろうボンネットをそっと外して買い物籠にしまい、ミッチーを撒くようジグザクに動きます。

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