初夜で妻に「君を愛することはない」と言った私は、どうやら妻のことをめちゃくちゃ愛していたらしい


「おい、暴れ出したぞ!」
「大人しくしろ! 痛い目にあいたいのか」
「当て身でも食らわせろ! 静かにさせるんだ」

 わたくしは殴られる覚悟で、渾身の力で暴れ回りますが、どんどん路地の奥に引き摺られていってしまいます。
 この路地裏を曲がったら、きっと誰にも気づかれることなく、逃げることは叶わないでしょう。

(お願い、誰か……!)

「この……ッ!」
「――!」

 男の一人が拳を振り上げたのが見えて、わたくしは思わず目を瞑りました。
 けれども、待てどもくらせども、痛みはやってきません。

「……?」

 恐る恐る目を開けると、男が振り上げた手を掴んで離さない人物がいました。



「彼女に何をしている?」



 怒りに震えるそのバリトンボイスの主を、わたくしは誰よりもよく知っています。


(えーーーーっ!?)


 そこにいたのは、マイケル=マクマホン。
 なんと、私の王子様(スイートハニー)が助けに来てくれたのです!!


< 94 / 104 >

この作品をシェア

pagetop