初夜で妻に「君を愛することはない」と言った私は、どうやら妻のことをめちゃくちゃ愛していたらしい
ふと気がつくと、男の首元に槍の刃が触れていました。
「なッ……な、な……ッ!?」
「お前達が私の妻にこれ以上何かをする前に、お前の首が飛ぶだろうな」
気がつくと、わたくしたちの周りは、護衛騎士達に取り囲まれて、3人の男達は皆、槍や剣の刃を突きつけられていました。彼らはミッチーの護衛についていた、マクマホン侯爵家直属の騎士達です。
「次期侯爵夫人を離せ」
「その汚い手をどけろ!」
騎士達に凄まれて、三人の男達は抵抗する意欲を失ったようです。
弱い者相手に罪を犯していた彼らは、強い者が相手になると気持ちの糸がすぐ切れてしまうようですわ。
「じ、次期侯爵夫人!?」
「ひっ……や、やめてくれ! 刺すなよ! 離す、すぐ手を離すから!」
「分かった、悪かったよ! ほら、ちょっと仲良くしてただけなんだ! なぁ、ご夫人様!!」
ようやく解放されたわたくしは素早くミッチーに引き寄せられて、男達から引き離すように、その大きな背中に隠されてしまいます。
「マイケル。わたくし今、この男達に攫われそうになっていましたの。人攫いですわ!」
「こ、このくそアマァ!」
「――私の妻がなんだと?」
「ひぇッ……ち、違いまさぁ、旦那! 俺達は――」
「こいつらを連れて行け!」
地の底から這うような怒りを含んだ命令に、護衛の騎士達は素早く男達を回収していきます。
男達は、「違うんだ! 全部その女が!」「クソっ、覚えてろ!」と捨て台詞を吐きながら、引きずられるようにして大通りの方に連れて行かれました。
そして、数人の護衛騎士とわたくしとミッチーがその場に残されたのです。