初夜で妻に「君を愛することはない」と言った私は、どうやら妻のことをめちゃくちゃ愛していたらしい


 大きな体にすっぽりと包まれて、わたくしはもう一杯一杯で、色々な我慢が弾け飛んでしまいました。
 わんわん泣き出したわたくしを、ミッチーは困った顔で見つめています。

「うっ、ううぅう……っ」
「ステファニー、すまない。その……私は怖かったんだ」
「うぅ…………ミ、ミッチーが……?」
「そうだ。君を失うかと思ったら怖かった」
「……」
「君が路地裏に入って行った後、男達に引き摺り込まれるのが見えた時は、建物ごと雷魔法で破壊してやろうかと思った」

 被害甚大! それはもう災害ですわ!?

「えっ、待ってくださいまし、ミッチーはわたくしがステファニーだって最初から気が付いていましたの?」
「当然だろう」
「で、でも、わたくし変装しています! 実家の侍女達にだって、なかなかバレないくらいの名変装で」

 言い募るわたくしの頰の涙を拭いながら、ミッチーは肩の力を抜いた様子で、ふっと微笑みます。


「私にステファニーが分からない訳ないだろう?」


(な、何ですのそれえぇーーーー!?)

 他の女性の見分けがつかないのに、わたくしだけはどんな格好をしていても分かってしまうなんて!
 そんなのもう、わたくしにぞっこんフォーリンラブってことではありませんかぁああーーーー!!

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