初夜で妻に「君を愛することはない」と言った私は、どうやら妻のことをめちゃくちゃ愛していたらしい


「わたくしのこと、大好きすぎですわ!」
「うん。私はステファニーに夢中だからな」
「わたくしのこと、愛さないって言ってたくせに!」
「あ、あれはただの照れ隠しだ。しかしその、本当にすまなかったと思っている……」
「じゃあ本当のところはどうなんですの」
「え?」
「本当は、わたくしのことをどう思っているんですの!」

 わたくしの言葉に、ミッチーは目をパチパチと瞬いた後、少し照れながらも、頰を緩めて自然な微笑みを浮かべました。


「私は君にメロメロキュンキュンだよ、ステファニー」


 その穏やかな微笑みに、わたくしの杞憂は全て吹き飛び、ハートを射抜かれ、理性もどこかへ投げ飛ばされてしまったのです。

「分かりました。じゃあ仕方ありませんから、許してあげますわ!」
「えっ!? 許ッ……え!!?」
「だ・か・ら! 許してあげますって言いましたの! も、もう許してもいいですわよね? わたくし十分我慢しましたわ。も、もういいんじゃありませんこと!?」
「……!?? いや、そのだな」
「いやよ、もう許して! わたくしが許すことを許して! 何なんですの、こんなにわたくしを焦らして、もう絶対許しませんわー!!!」

 わたくしは、ひしっとミッチーに抱きつきながら、「ミッチーのばかぁぁああ」とわんわん泣き荒びます。
 そんなわたくしに、ミッチーは「許してくれるのか!? やっぱり許さないのか!?」とオロオロしながらも、しっかりと抱き止めてくれたのでした。

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