笑顔可愛すぎるので、笑顔禁止です!三島さん

生聖先輩おはようございます

今日は散々だったなぁ…。
家に帰り、母さんの作ってくれたハンバーグを食べながらそんなことを思う。
それにしても三島さん、なんであんなに嫌がったんだろう。
別に1回くらいなら、あの数学の教師は怒ったりしないのに。
いくら考えても謎は深まるばかり。
うん!
これ以上はやーめたっ。
考えを振り払うようにハンバーグをぱくりと食べた。


次の日。
朝ごはんのトーストにジャムをかけながらスマホをいじる。
「ん?」
1件のメッセージ…?
メッセージ主は友達の天崎瑠依(アマサキルイ)。
タップしてメッセージを開く。
『ねえ今日の数学自習なの?』
しょーもね…。
確かにその通り、今日の数学は教師が出張のため自習になっていたけど…。
一体どっから情報を仕入れてやがる…。
噂は恐ろしいね…と思いながら返事を打つ。
『そうだよ、誰から聞いたの』
一瞬でついた既読。
早っ…。
『え?みくりから聞いた』
みくりとは御厨優真(ミクリヤユウマ)のこと。
僕の所属している仁科中1年1組にはユウマが2人いるから御厨はみくり、もう1人の只見遊馬は只見と呼ばれている。
トーストを食べ終わり、卵焼きに手を伸ばす。
僕の家の卵焼きには砂糖が大量に入っていて甘くて美味しい。
制服に着替え、ジャケットを羽織る。
仁科中指定のバッグを持って、家を出た。
家から学校までは徒歩10分。
部活友達、新島夏弥(ニイジマナツヤ)と立花蜜柑(タチバナミカン)、鈴町桃也(スズマチトウヤ)。
この3人といつも一緒に部活に行っている。
今日は朝練があるから6時45分に待ち合わせ場所を出発した。
たわいもない話をしながら学校まで歩く。
「っ、あ!キサト先輩ー!」
男子バスケ部の先輩、田原生聖(タハラキサト)先輩。
僕の所属している陸上部の先輩と仲が良くて、たまに覗きにくる。
僕ら後輩にも優しく(?)してくれて、結構仲が良い。
「お、陸部後輩ちゃん達!」
生聖先輩は身長が146センチしかないらしいけど、僕も150ちょいしかないからあまり変わらない。
「一緒に行ってもいいですか?」
「もちろん!」
生聖先輩は満面の笑みで微笑んでくれた。
生聖先輩も合わせて5人で中学校へ。
学校へ着くと、先輩は体育館へ、僕らは校庭へと向かう。
校庭でバッグを置き、服を陸部のチームTシャツに着替える。
デザインは統一だけど色は選べることが出来て、赤や青の王道系や、紫やグレーなど色んな色がある。
僕はシンプルに水色。
蜜柑は橙色で、桃也は紫色、夏弥は黄色。
「なぁ蜜柑、昨日のメニューってなんだっけ?」
「え?っと…ロングアップからの個人練習」
「さんきゅ」
桃也はぺろりと舌を出しながらカリカリシャーペンを走らせている。
「何やってんのー?」
夏弥が覗き込むと、桃也はさっとノートを隠した。
「見んなよー!これは俺の練習記録ノート!これにメニューとか書き込むんだよ」
ドヤッと自慢げに言い放った桃也。
れ、練習記録ノート…?
なんかよくわからんけど、凄い…。
桃也は真面目で一生懸命だから、こういうアイディアも思いつくんだろう。
「えー!いいなぁ!俺もやろっかな」
「ダメに決まってんだろ!俺のアイディアだぞ!」
桃也は人と被ったりするのが嫌だからな…。
「いいだろ別に!先生に見せるわけじゃあるまいし」
夏弥の言葉に、桃也はびくりと肩を跳ねさせた。
…おい、桃也…。
夏弥と桃也、そして数人の先輩は短距離走を選択している。
陸上部と言えば短距離走だから、陸部に入った人は短距離を選ぶ人が多い。
だけどその分ライバルが多くて陸上経験者から言わせてもらうとめんどくさい。
小学校の市民陸上大会で全部の種目を体験した僕は、小学校では走り幅跳びを選んだ。
中学校では走り高飛びと走り幅跳びで悩んだものの、走り幅跳びの人数が意外と多かったため、走り高飛びを選択した。
桃也は速い方だけれど先輩には少し劣るので、技術ではなく頭脳でカバーしようという作戦なのか。
あったまいいな、コイツ…。
陸部専門のアップを行い、各自でストレッチをすると、各種目の練習が始まった。
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