ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪
美しき毒、さらに…/その3
剣崎



相変わらず麻衣の感性はハンパじゃない

ヤツは3代目体制となった相和会を取り囲む周辺事情など、そうは知りえていないはずだ

それでもあの小娘、その獣のような嗅覚で敏感に感じ取ってる様子だった

俺の反応も実によく察知してるしな

それに、この俺への畳みかけは見事というほかない

さりげなく、必要な言質はしっかりととって来てる

おいおい訪れるであろう場面を想定して…

頬がこけてやつれたが、その眼光はより鋭くなってたよ

ここまでくると、麻衣の”危険度”は相馬豹一とある意味、双璧と言って過言ではあるまい


...



それにしても…、倉橋への思いは本物らしい

未成年のガキが、あの荒くれモンをああまで気遣うなんてな

クソ憎たらしい半面、何ともいじらしい

こうなったからには、俺も二人を幸せにしてやりたいさ

だが、奴がこのまま恋する乙女で収まってくれなければ、こっちもそれなりの対応をせざるを得ない

これから訪れる運命は、そうは単純にはいかないんだろう

それは、あの二人も十分承知してるとは思うが…


...



今日、麻衣の口からはケイコとアキラのことが出なかった

別れ際、あえてオレは誘い水をかけた

「ケイコとアキラの身の安全は気にならないのか?」

麻衣は表情ひとつ変えず、さりげなく答えた

「もう他人になったんです、あの人達とは。それに、今回の記事なんか眼中にないですよ。ラブラブですもん、あいつら。ふふ、私だって恋してるし、負けてられないですよ。あーゆー、ドンくさい輩には…」

この言い回しもまさしくダブルミーニングだな

あの二人はすでに警戒するに足りないとシグナルを送ることで、ケイコとアキラを守ってやるというい配慮にも受け取れるが…

逆に、無関心を装いながらも、二人への仕掛けを考えてても不思議はない

麻衣ならやりかねないさ

とにかく、こいつら3人のガキどもの相関関係は何とも因果なもんだ

思えば俺はこの夏、あの3人のそれぞれの情念をまともに受け止めた人間だ

あいつらはこれから、どこに向かっていくのか…





いずれにしろ、麻衣とは新たな局面に入った

とにかく麻衣はその研ぎ澄まされた直感で、オレの”変化”を悟ったはずだ

無論、矢島さんには体当たりで行く

だが立場上、そして前会長亡き相和会では、従来通りとはいかねえんだよ

麻衣の出方によっては、本意に沿わない対応もな…

長い夏が終わったばかりなのに、次の季節もそう簡単に閉じることはないのか…






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