筒井くんと眠る夜 〜年下ワンコ系男子は御曹司への嫉妬を隠さない〜
そう、私、東条小夜子(とうじょうさよこ)・26歳はいわゆる深窓の御令嬢ってやつ。
実家は東羽製薬(とうわせいやく)という会社を経営しているけど、その大元は世が世なら財閥と言われるような経営者一族なのだ。
お陰様で株式やら何やらで裕福な暮らしを送らせてもらっている。

「小夜ちゃん食べないの?」
「食べないよ。こんな時間にそんな炭水化物と脂のおばけ。筒井くん、いつも一人でペロリでしょ」
私はシーザーサラダで十分。
「まあね。俺ヤッた後って腹減るし」
清々しいほどストレートな物言い。
「でも小夜ちゃんと一緒に食べたかったんだよね」
そんな悲しげな瞳で言われたら……
「じゃあ、ひと口だけ貰おうかな」
そう言ってピザを一切れ取ろうとする私の手を、筒井くんが静止する。
「ダメだよ、俺が食べさせてあげる。はい、あーん」
わざと指ごと咥えさせるみたいに、私にピザを食べさせる。
「かわいいね、小夜ちゃん」
満足げな顔で頭を撫でられて、いつの間にかこっちがワンコ扱い。
それ、私が買ったピザなんだけど。

筒井くんのことは好き。

「小夜ちゃん、新しいシャンプーの匂いがする」
ベッドで後ろから私を抱きしめた筒井くんが言う。
「筒井くんも同じ匂いだよ」
「同じシャンプーって家族みたいだね」
「そういうもの?」
彼が腕に少しだけ力を込めて、私の後頭部にキスをする。
「おやすみ、小夜ちゃん」
「おやすみ」

私が眠るまで抱きしめててくれるから。
筒井くんは優しくて好き。
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