筒井くんと眠る夜 〜年下ワンコ系男子は御曹司への嫉妬を隠さない〜
筒井くんとこんな関係になったのは1年前。金曜日の夜だった。

***

『小夜ちゃん?』
仕事&飲み会帰りに自宅の最寄駅付近で声をかけられた。
背が高くてイマドキって感じのゆるめのファッションに、ふんわりした黒髪のあれは…短髪? 長髪? ビミョーな長さの髪の男の子だった。
『え、もしかして……塾の? えーっと……」
『筒井』
『そうそれ! 筒井くん!』
名前を思い出して、ほろ酔いの私のテンションは上がったけど、筒井くんはなんだか一瞬ムスッとしてた。

〝深窓の御令嬢〟を自認してるけど、世間的にはフツーの女子として暮らしているから、今は会社員だし大学時代は塾講師のバイトをしていた。
その時の生徒の一人が筒井くん。

『久しぶり、小夜ちゃん』
酔ってたからすぐに名前が出なかったけど、筒井くんのことはよく覚えてた。
塾の頃から私のことは〝小夜ちゃん〟て呼んで、人懐っこくて笑顔がかわいい子だったから。
『筒井くん、大学の帰り?』
『もう卒業したよ』
『え! そんなに経ってる!?』
『4年半経ってるよ』
『え〜嘘〜!』
『小夜ちゃん酔ってる?』
筒井くんが呆れ気味に言った。
『ちょっとだよ。ふふふ』
彼はなんだかまた不機嫌そうに眉を顰めた。
『筒井くんも仕事の帰り?』
『違うよ』
『んー? 筒井くんて今何してるの?』
聞いたら無職だって言うから、思わず心配してしまった。
『筒井くん、勉強得意だし真面目に授業受けるタイプだったのに……』
就活は上手くいかなかったんだって思ったらかわいそうになっちゃった。あ、でも塾も途中で辞めちゃったんだっけ?
『私で良かったら相談に乗ろうか?』

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