真珠の首飾り、あるいは女王の薔薇
十五粒目、あるいは十五枚目
ウィルから母に改めて紹介したいと請われ、喜んで、と即答した。
「母は、きみのような娘がいてくれたらとよく言っていた。大喜びするだろうな」
「まあ、そうでしたの」
「母が随分ときみを気に入って、散々きみを養子にしたいと言っていたのを、頑張って取り止めてもらっていたんだ。家族と結婚はできないからと言ってね」
「まあ。……そうでしたの?」
「そうだとも。私は頑張ってよかったと思っているよ」
陛下にも根回ししていたらしい。それは伯爵の養子だとか、執務室の扉がどうとか、やけに協力的にもなるわね。
メルバーン卿はどう? なんて。陛下は普通、個人名をあげて聞くような方ではないもの。
仕事終わりにウィルが迎えに来てくれるのは、ウィルの優しさ。でも、きっと陛下は、それに間に合うようにさりげなく時間を調整してくださっていたんだわ。
ここのところ、よく会うなあとは思っていたのよね。タイミングがよかったなって。
ウィルが会うのをやめて帰ってしまう日がほとんどなかったのは、陛下のお心遣いによるものだったのかも。
陛下の覚えめでたく、周囲の協力がありがたく、ウィルの懸命さがくすぐったい。嬉しいけれど、少し気恥ずかしい状況だわ。
「母は、きみのような娘がいてくれたらとよく言っていた。大喜びするだろうな」
「まあ、そうでしたの」
「母が随分ときみを気に入って、散々きみを養子にしたいと言っていたのを、頑張って取り止めてもらっていたんだ。家族と結婚はできないからと言ってね」
「まあ。……そうでしたの?」
「そうだとも。私は頑張ってよかったと思っているよ」
陛下にも根回ししていたらしい。それは伯爵の養子だとか、執務室の扉がどうとか、やけに協力的にもなるわね。
メルバーン卿はどう? なんて。陛下は普通、個人名をあげて聞くような方ではないもの。
仕事終わりにウィルが迎えに来てくれるのは、ウィルの優しさ。でも、きっと陛下は、それに間に合うようにさりげなく時間を調整してくださっていたんだわ。
ここのところ、よく会うなあとは思っていたのよね。タイミングがよかったなって。
ウィルが会うのをやめて帰ってしまう日がほとんどなかったのは、陛下のお心遣いによるものだったのかも。
陛下の覚えめでたく、周囲の協力がありがたく、ウィルの懸命さがくすぐったい。嬉しいけれど、少し気恥ずかしい状況だわ。