別れさせ屋の仲間になった私の結末
ムカついて下唇を噛んでいたら、ポケットに入れていたスマートフォンが震え出す。

「……潤さんが“印刷する前にチェックさせて”だって」

作業についての連絡だった。

キングにも言っておこうと思って伝えると、彼は再びため息をつく。

「連絡先、交換したんだ?」

「……うん。昨日、あの後声をかけられて」

キングからDMを読んで喜びを噛みしめていたとき、会議室から出てきた潤さんから声をかけられ、なんでも相談してねと連絡先を教えてもらった。

私は、彼女の細やかな気配りにも感謝していたから……。

「何考えてんだか……」

連絡先を交換したことにまで口を挟むキングに、腹が立った。

「なんなの、今日のキング……なんかとげとげしいよ」

そんなに迷惑なのだろうか。

相良宗介の生活範囲に足を踏み入れたことを、ここまで嫌がられるなんて。

ショックだった。近づけたことを喜んでいた自分がバカみたいで。

不満を口にしても、キングは、

「……この姿のときは、キングじゃなく相良な」

心情を口にせず、呼び方を注意するだけ。
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