世界で一番好きな人
半年間この調子だったのに、今更意識してもらえるように動くのはなんというか、恥ずかしくてなかなかできないでいる。



「茉莉花。先生が呼んでたよ。千瑛くんと来いだって」


「え、なんだろ。どうせ雑用かな。千瑛ー!先生が呼んでるって、早く行くよー!」


「ええー」



先に廊下に行こうとすると、瑚子がちょいちょいと呼び止めてきた。



「茉莉花さ、転ぶフリとかなんでもいいから、千瑛くんにくっついてみなよ。男はみんな、ボディタッチされれば嫌でも意識するよきっと」


「え」


「おーい、茉莉花。先行くぞ」



ハッと我に返り、慌てて千瑛の後を追いかける。



「犬飼さんと何話してたの?」


「え!?いや、別に…」
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