世界で一番好きな人
違う。何もしないから、奇跡だって起こせないんだ。


わからなくても、何かしら自分で考えてアピールしていかないと、千瑛みたいな鈍感には気づいてすらもらえない。



「ち、千瑛…っ。明日の自由時間、一緒に回ろう…っ」


「自由時間…?わかった、わかったからもう泣くなよ…」



千瑛がどうしたらいいのかわからないと言った顔で、とりあえずワイシャツの袖で優しく涙を拭ってくれた。


好き。千瑛が好き。



明日、ちゃんと気持ちを伝えよう。


明日だけは素直な自分でいよう。





そう思っていたのに、文化祭一日目はクラス企画であるメイド喫茶が思った以上に大盛況で、裏方仕事の私たちに休憩の時間なんて与えてもらえなかった。


そして迎えた二日目。
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