淫夢でも溺愛されたい! 〜サキュバスは隣人にガチ恋する~
尾行の最中だということを忘れて思わずつぶやいた。
するとカウンター内にいた白いヒゲを蓄えたマスターが嬉しそうに会釈してきた。

麻里奈も半分気まずさを感じながら会釈を返す。
この喫茶店の雰囲気、たしかに悪くないかもしれない。

手鏡を取り出して鏡越しに戸倉瑞樹を確認してみると、相手も同じコーヒーを飲んでいるようだった。
さっきから経済新聞を熱心に読んでいるから、勉強好きなのかもしれない。

そんな姿に見とれていると新聞を読み終えた戸倉瑞樹が席を立った。
いつの間にかコーヒーも飲み終えていたみたいだ。

麻里奈はとっさに手鏡をカバンにしまって、自分のコーヒーを一気に飲み干した。
熱くて目を白黒させながら会計を済ませて外へ出る。

すぐに追いかけて出てきたのだけれど、喫茶店周辺に戸倉瑞樹の姿が見えない。
「どこに言ったんだろ」
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