淫夢でも溺愛されたい! 〜サキュバスは隣人にガチ恋する~
「……ごめんなさい。僕には関係のないことでした」
踏み込みすぎたと思ったのか、戸倉瑞樹はすぐに視線をそらしてしまった。

「いえ、あ、あの。助かりました。本当にありがとうございました」
ホテルに入りたくないと思ったことは事実だ。

なぜそんな気持ちになったのかわからないけれど、この男には抱かれたくないと強く思ってしまった。
「このあたりを夜歩くのは危ない。気をつけないと」

戸倉瑞樹はそう言うと麻里奈に右手を差し出してきた。
麻里奈はそっとその手を握りしめる。

それからふたりは無言で夜のネオンの中を歩いたのだった。
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