淫夢でも溺愛されたい! 〜サキュバスは隣人にガチ恋する~
「あぁ、なるほど」
昨日挨拶に来たときとは別人が部屋から出てきたから、あんなに驚いていたみたいだ。

それからふたりはやってきたエレベーターに乗り込んだ。
麻里奈は隣に立つ戸倉瑞樹にチラチラと視線を移す。

昨日の夜は淫夢の力を使ったから、戸倉瑞樹は麻里奈の妄想と同じ夢を見ているはずだ。
その相手がこんなにも至近距離にいる。

意識しているに違いない。
しかし戸倉瑞樹は少しも麻里奈の方へ視線をよこそうとしない。

もしかして隣に立っているのが夢に出てきた麻里奈だと気がついていないんじゃないだろうか。
そう考えた麻里奈はわざと咳払いをしたり、ちょっと屈伸をしてみたりと相手の視線を引く行為を繰り返してみた。

けれど戸倉瑞樹は全く興味を示さない。
まるで隣にいる麻里奈の存在に気がついていないように前を向いたままだ。
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