最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない
四章 そして、運命が回り出す
 理事長と珍しく長話しをした翌日、サードは目覚めて早々、奇妙な違和感を覚えた。目覚めから、やけに神経が高まって身体が軽いように感じた。

 はじめは気のせいかと思っていた。風紀委員会室でいつものように朝のミーティングを行った後、眉根を寄せて顔を覗き込んで来たリューの言葉に、それが気の迷いではないらしいと知った。

「……なんだか委員長、今日は殺気立ってます?」
「どうして」
「いや、なんか瞳孔が開いて、怖い感じがします」

 サードは、これから一時間目の授業を受ける予定でいたリューに、手短に別れを告げて階下のトイレに駆け込んだ。

 鏡で自分の状態を確認しようとした時、不意に胃から激しい不快感が込み上げた。普段あるような激痛の予兆もないまま、気付いたら洗面所に吐血していた。

 あっという間に、いつもより多くの血液がびしゃりとこぼれた。

 口の中にどろりとした苦い味が広がる。全身の毛が逆立つような高揚感と共に、壊してしまいたいという凶暴にうずく惨殺衝動が込み上げて、二時間前に服用したばかりの『悪魔の血の丸薬』をもう一度噛み砕いた。
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