最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない
 笑うような細い三日月形をした太陽の向こうに、血を騒ぎ立てる存在の気配を濃厚に感じた。この状況をどうしたらいいのだろうと、サードは引き続きその件について悩まされる。

 ロイ達がいる状況は、正直に言えば好ましくなかった。ソーマは既に頬や腕に浅い裂傷が見られるし、平気そうなロイやエミルと違って、制服が擦り切れた程度のユーリスとレオンも多少なりに『死食い犬』を相手にした疲労感も滲んでいた。

 結界に閉ざされた学園内は、これから外界とは違う時間が長く流れる。彼らの戦闘能力が人間側お墨付きの高さであろうと、体力的な問題から長期戦は確実に不利になっていくことが想像された。

 所詮は、生身の人間なのだ。数日間という時間を、休まずに戦い続けられるとは到底思えない。

「よし。やっぱりお前らは全員、保健室に閉じこもってろ」

 サードは、ビシリと指を向けてそう断言した。その途端に、ロイが片眉を上げて首を傾げてこう言い返す。
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