最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない
 どうやら生徒会メンバーは、前もって自分たちの担当区分を決めていたらしい。まるで遠足気分で報告するロイとエミルの話を聞きながら、サードは「はぁ」「なるほど」と間の抜けた相槌を打つことしか出来なかった。

「途中でエミルが、中庭を吹き飛ばしたのが見えてな。その時に、石像が宙を舞うのが見えたが、まさかここに落ちているとは予想外で発見した時は笑ってしまった。思った以上に魔獣の数もなかったから、後半はエミルの爆破を見物していたわけだ」
「『死食い犬』って、わざわざ向こうからやってきてくれるから、すっごく楽だったよ!」

 魔法陣の描かれた緑色の腰袋をさげたエミルが、少々煤をつけた顔に、疲れの知らない良い笑顔を浮かべてそう言った。

 言いたいことは色々と浮かんだが、サードはひとまず冷静になるべく、まずは理事長と同じ顔をした石像が、ロイの尻に敷かれている光景から目をそらした。

 生徒会メンバーが、ロイを中心に呑気にも報告会を始めてしまったので、そっと離れて頭上の太陽を仰ぎ見る。ほぼ欠けてしまった太陽は、日差しがほとんど遮られて辺りは随分と薄暗くなっていた。
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