最強風紀委員長は、死亡フラグを回避しない
 悪魔が作り出した結界の足場は、五メートルほどの位置から頭上一帯に広がっていた。破壊してやろうと、サードが跳躍して『全力で』蹴り上げても、それはびくともしないほどに強固だ。

「このタイプの結界は、物理攻撃では破壊出来ないと思う。術者以上の力がないと破れないし、そうなると、もう俺達にはどうしようもないんだよねぇ」
「会計、お前はなんでそう冷静なんだよ? あれじゃあ、すっかり悪魔のペースだぜ。どう見ても会長が押されてる」

 サードは、顰め面でズバッと意見を述べた。すると同じように戦いぶりを観察していたレオンが、横から「私が見た限りでは」と口を挟んできた。

「今のところは互角のようですね。ユーリス先輩が先に推測したように、悪魔が上の戦いに飽きれば結界を消してくれるかもしれませんが」
「それまで待ちぼうけしろってのか? 冗談じゃねぇッ」

 頭上で一対一の戦いを繰り広げる悪魔は、余裕そうに笑ってもいた。ロイが剣を構え直すのを待ち、素早い一手を受けとめて弾き払う。対する彼の服は所々小さく切れ、不敵に笑みを浮かべる顔も汗だくだった。
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