イケメン過ぎる後輩くんは、可愛い先輩を甘やかしたい。





 全部思い出したら、なぜか


『本当に好きな人にしか好きって言わないことにする』

『待っててください』


 また依澄くんに告白されたみたいな気持ちになった。


「ねぇ、彩美」

 トモちゃんが、涙が止まらなくなった私にハンカチを渡してくれる。

「私わかるよ、彩美の気持ち。赤澤くんあんなにモテるんだもん、元カノが素敵な人であればあるほど、自分はふさわしくないって思っちゃうよね」


『私たちほんとに愛し合ってるの』

『邪魔しないで』


 私は物語のヒロインじゃない。

 ララちゃんの言う通り、私なんかが二人の恋路を邪魔していいはずがない。


「でも、彩美の気持ちは?本当は元カノじゃなくて、赤澤くんを信じたいんじゃないの?」

「……!」


『先輩。お願い。俺の彼女になって』

『俺、本気ですよ』


 依澄くんのまっすぐすぎる言葉が胸をうつ。


『好きです。好きです、好きです』
 

 どうしようもなく心を揺さぶられる。


『覚えといてください』

『俺は先輩が好きです。誰が何と言おうと』


「っ……、」


 苦しくて、愛おしくて、今すぐ会いたくて仕方がない。
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