初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
「まったく。カーラ商会はどこからこんな違法薬物を手に入れてくるのか。ケイト、君がイアンに飲ませた薬は、一般的には媚薬と呼ばれる性的興奮剤だ。だが、それは国が認可しているものとは異なる薬。理性を奪うような違法な代物だったというわけだな」
「だけど、いくら薬のせいだとしても。イアンが私を襲ったのは事実ではなくて? ラッシュも、ダリル侯爵も、その場にきたわけでしょう?」

 ケイトも負けまいと反論した。

「行為があったように見せかけるのは簡単だろう? イアンは意識が朦朧としていたし。君の証言だけでなんとでもなる。それに、協力者のラッシュ・ベネターが目撃者だ。口裏を合わせることなど簡単だ」

 ラッシュは肌を隠すかのように掛布をたぐり寄せ、ぶるぶると身体を震わせたまま。

「それから、結婚の流れになり。そういった準備を理由に顔を合わせるたびに、イアンに薬を飲ませていた。飲み物に混ぜれば簡単だな。そうやって、イアンの自我を奪い、無理矢理、婚姻届に印を押させた。いや、イアンはそれだけは拒んだはずだ」

 そう。イアンは婚姻届への印章を拒んだ。少しずつ薬を飲ませ、洗脳したはずだったのに、彼は印章がないと言い出したのだ。

「しびれを切らしたカーラ商会長は、イアンの印章を偽造した。印章の偽造も偽造罪が適用されるからな」

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