初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
「兄さん……。兄さんは今、マレリさんが言ったように姦通罪に問われている。となれば、廃嫡となるでしょう。それでも、ケイトさんは兄さんを愛していると言ってくれますかね?」

 不安げな様子でラッシュはケイトを見つめる。
 ケイトはふんと鼻から息を吐く。

「はぁ……。ラッシュ、あなたの弟がこれほど優秀だなんて聞いていないわ。もしかして、優秀な王宮医師ってあなたの弟のことかしら?」
「うわ、優秀だなんて。嬉しいですね。あらためて自己紹介させていただきます。王宮医師のロイ・ベネターと申します」

 誤算も誤算、大誤算である。

「兄さん。これ以上、ボクにできることはありません。そうですね、切断後の処置くらいなら、うまくやってあげますけども」
「ひぇっ」

 ラッシュはあそこを両手でおさえた。

「はい、騎士団のみなさ~ん。この犯罪者二人を連れて行ってくださ~い」

 ロイの明るい声で、騎士服に身を包む男たちがぞろぞろと部屋に入ってきた。

「ちょっと、服ぐらい着せなさいよ」

 それがケイトなりの最後の強がりだった。


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