初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
「今はまだ、その婚姻が無効であると判断されていない。だから、現時点での婚姻状態は認められている。つまり、君たち二人は立派に姦通罪を犯したということだ。知っているか? 姦通罪は生殖器切断による身体刑が科せられる」

「ひっ……」

 悲鳴のような小さな声をあげたのは、ラッシュである。

「兄さん……」

 マレリの後ろから、小柄な男性が姿を現した。赤茶の髪はラッシュによく似ているし、その顔かたちも彼の面影がある。そして彼は、白衣姿でもあった。

「兄さん。なぜ、カーラ商会の悪事に手を貸したのですか?」
「なぜ? なぜって、そんなの。ケイトを愛しているからだろう? 協力すれば結婚してやるって言われたんだ」
「ボクは忠告しましたよね? 兄さんのやっていることは犯罪だと。イアンさんに違法薬物を飲ませ、心神喪失の状態とさせて無理矢理関係を結んだかのように見せた。それを脅しの材料として、ケイトさんがイアンさんと婚姻関係を結ぶ。二年間、男女の交わりがなければ離縁が認められるから、イアンさんに原因があるという理由をでっちあげて、離縁するつもりだったのでしょう? そうすれば、イアンさんの資産がケイトさんに転がり込むわけですから。もしかしたらその後、結婚してあげるとかなんとか、言われたのですか?」
「そ、そうだよ。だってケイトは僕を愛してくれているからね」

 先ほどからラッシュは震えたままである。

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