赤金の回廊 ~御曹司に恋した庶民令嬢は愛に惑う~
 写真はまた来るだろう。確かめながら行くしかない。
 一番の愛車は修理中だが、実家から別のバイクを持って来ている。
 部屋を飛び出して駐車場でそのバイクにまたがり、ふと手を止める。
 バイクで高速に乗るより——。
 将周は実家へ連絡を入れた。準備を頼み、実家へとバイクを走らせた。

 実家に着いた将周はそのまま庭に走りこむ。
 タイヤを滑らせながらバイクを止めるとメイドが彼を出迎えた。
「お帰りなさいませ」
「準備はできているか?」
「はい」
 メイドは答え、彼にヘッドセットを差し出す。
 バイクとヘルメットをメイドに託し、彼女からヘッドセットを受け取る。
 彼の目の前にあるのはヘリコプターだった。格納庫から出され、もうエンジンがかけられている。
「おともいたします」
 綾瀬が控えていた。
 サポートで彼がついてくれるなら心強い。スマホには新たな画像が届きつつある。それを確認する人手も必要だった。
「飛行申請は許可がでました」
「ありがとう」
 短く答えて、二人はヘリに乗り込んだ。
 
 挑発するような画像を元にヘリを飛ばし、将周は山中湖の湖畔にあるホテルに向かった。
 目的の部屋は最上階にあることは画像を調べてわかっていた。
 操縦を綾瀬に託し、将周はロープをテラスに垂らした。それを伝ってテラスに降り立つ。
 ヘリの風圧で髪と服が乱れたが、かまう暇はない。
 ヘリはそのまま屋上のヘリポートを目指して舞い上がった。
 紗のカーテンのせいで、テラスから中は見えない。
 将周が窓ガラスを押すと、抵抗なくスルリと開いた。
「いや、だめっ。そ、そんなところっ。そこはダメっ」
 うわずった千枝華の声が響いた。
「ここか? 三回目だからって容赦しないからな」
 挑むような大和の声が続く。
「ああっ、やめてっ」
 千枝華の声が大きくなる。
 将周の頭にいっきに血が上った。
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