女子高生と同居することになった!

12話。今日からカップルだよ!

12話。今日からカップルだよ!

「学校の授業が終わるやいなや会って一緒に君の家に行こう。」

レン君の言葉にあかりは怪しそうに答えた。

「うちに?」
「荷物を持って来なければならないんじゃないの? 昨日死のうと決心して出てきたから、服とか、生活に必要な道具は全部家に置いてきたはずだから。」
「あ、そうだ!」

実は下着も持ってこなくて着替えることができなかった状態だった。

「分かった。学校が終わってすぐ行けば、家にパパはいないよ。」
「じゃあ、バス停で待ってるよ。 今日は遅すぎたから少しでも寝てね。」
「うん。」

あかりは部屋に入った。 父親からあらゆる暴言を浴びながら衝撃を受けたうえ、突然見知らぬ所に来て眠れないようだった。

(私がずっとここで過ごしてもいいのかな?)

あかりはいろいろ考えたが、思いがけずすぐに眠りについた。

朝起きたら短い時間だったけど、何時間でも甘く寝た気がした。 ところが、家の中が静かな感じがした。

(え?もうこんな時間になったんだ? 遅刻しそう!)

ところが、部屋のドアを開けて出てみると、レンは見えなかった。

(まだ起きてないのかな?)

あかりは家の中を見回したが、トイレにも台所にもれんはなかった。 あかりはためらい、れんのドアをノックした。

「まだ寝てるの?」

しかし、レンは返事がなかった。 あかりは仕方なく部屋のドアを開けてみた。 しかし、布団はきれいに整えられていて、レンは部屋の中にもいなかった。

あかりはまた部屋に戻り、携帯電話をのぞき込んだ。 やはりレンのメッセージが来ていた。

<アカリちゃんが疲れそうでわざと起こさずに先に出たの。 私は毎日朝早く学校に行くの。なぜなら私が校門の中に入った瞬間に高校生の体に変わるからその姿を誰かが見てはいけないから。 食卓の上を見るとカードがあるはずだ。 今遅いかもしれないから、それでタクシーに乗って来て。 後で学校で会おう! いや、学校の授業が終わったらバス停で会おう!>

あかりはさっとトイレに行って洗って学校に行く準備をした。 死ぬ時に制服に着替えて死ぬ決心で制服は持ってきたので幸い学校に行くのに支障はなかった。

タクシーに乗って学校に着くとやっと遅刻は免れた。 あかりは学校でずっとぼんやりと座っていた。 休み時間にもしレンと会うのではないかと思って廊下に出てみたりもしたが、レンは見えなかった。

あかりは学校の授業が終わるやいなやバス停に駆けつけた。 そこには大人の姿であるレンが待っていた。

レンはあわてて走ってきたアカリを見て尋ねた。

「なんでそんなに早く走ってきたの?」
「君が待っているかと思って。」
「私も今来たよ。 アカリちゃんは昨日あまり寝れなくて大変だね。」
「いや、大丈夫。」

あかりの家に行くバスが到着するとあかりはれんと一緒にバスに乗った。 バスの中では何も言わなかった。 どうしても他の人たちの目には大人と女子高生に見えるはずだから、あえてバスやタクシーなどで話をする必要はなかった。

家に着くと、予想通り父は家にいなかった。

「リビングでちょっと待って。」

あかりは部屋に入って服や生活に必要な必需品などいろいろなものを用意した。 家に二度と帰りたくなかったので、必要なものをあれこれ取りまとめてみると、40分ほどかかった。 あかりはスーツケースとリュックサックに荷物をいっぱい入れて持ち帰った。 レンは笑いながら言った。

「旅行に行くみたいだね。」
「うん。芹沢蓮の家に旅行に行くんだ。」
「よし!ガイドは私がやるよ。 じゃ、タクシー呼ぶよ!」

レンはタクシーを呼び出し、アカリはレンと一緒に荷物を持ってレンの家に行った。
タクシーを降りると、レンはリュックサックを肩に担いながら言った。

「これ私が持って行くよ。」
「ありがとう。じゃ、スーツケースは私が引っ張っていくよ。」
「大丈夫。これも私が引っ張って行くよ。」

アカリの荷物をすべて持って先に歩いていくレンの姿がなぜか心強い。

「なんだ?私が今、一体何を考えているんだ?」

アカリはレンの家に入った瞬間、自分が家から持ってきた荷物を見ながら、今はレンと一緒に暮らすようになったという事実が実感された。

(私が本当に男の子と同居することになったの?)

レンはアカリのスーツケースの車輪をウェットティッシュできれいに拭き取り、アカリの部屋に持ってきて言った。

「荷物の整理を先にして。 整理が終わったら外に出ておいしいものを買って食べよう。」
「うん。」

***
アカリが荷物を片付けている間、レンはソファに座っていて実感が湧かなかった。 一生で一番好きだった女の子と一緒に暮らすことになったのだ。 もちろん、結婚して一緒に暮らすわけでもないし、あかりとは何の関係もないけど、それでも一緒に暮らすようになったことを考えると嬉しい限りだった。 あかりが家から出てくるようにしたあかりの父親がありがたく感じられるほどだった。

あかりはしばらく待っても部屋から出なかった。 だからといって催促することもできず、レンはただ待っていただけだった。

(荷物を整理するのに なんでこんなに時間がかかるんだろう?)

レンはそろそろお腹がすいてくるのを感じた。 でも、もうすぐアカリが準備して出てきたら、外に出たら夕食を食べるにはちょうどいい時間になるだろう。

アカリを待っている間、レンは携帯電話であれこれ見ていた。 あかりがいつ頃部屋から出るか考えていると、あかりが部屋のドアを開けて出てきた。

レンは居間に出てきたアカリを見てびっくりした。 いつの間にか化粧を濃くしていて、制服の代わりにクリーム色のブラウスと黒のプリーツスカールを着ていた。 レンはアカリの変わった姿を見て、ぼんやりと見ていた。

「お待たせしました? ごめん。」
「いや、大丈夫。」

レンはいつもアカリが可愛い少女だと思っていたが、そのように化粧を濃くして服も着替えると全く違う魅力が感じられると思った。

「やっぱり初めてデートするんだけど、気をつけて出かけなければならないと思って。」
「デート?」

レンはデートという考えはしたこともなく、ただ一緒にご飯を食べに出かけると思っていただけだったが、アカリがデートと言うと何か心が微妙になった。

「デートじゃないの? お前、私に電話で告白したじゃないか?」
「それは君が死ぬと言うから…···。」
「そしたら嘘で告白したの?」
「それは違うよ。 ただそんな状況で告白したのがちょっと···…。」
「残念だったってことだよね? 確かに未来から来た理由が私のせいだとまで言ったから嘘じゃないよね?」

アカリの言葉通りだった。 ただ、もっと素敵な場所、もっと素敵な状況で告白できなかったのが残念だった。

あかりは自分の髪に触れながら言った。

「でも、考えてみたら私、バイトしなきゃいけないみたい。」
「バイト?なんで?」
「君に乗って暮らして、ただでおごってもらうわけにはいかないだろ? そして、化粧品もたくさん買わなければならないようだ。」
「それはなぜ?」
「君と二人で一緒に通うことがたくさんあるはずなのに、学校では同じ高校生だけど、外では大人と女子高生じゃない? そのような仲に見えないためには、私が最大限成熟して見せなければならないと思って。」
「……。」
「今はどう? お嬢さんみたいに見える?」
「うん。お嬢さんのように見える。 でもあえてバイトする必要はない。 君と一緒に暮らすお金は十分あるから。」
「でも、私は君におごってもらうだけではないんだ。 少なくとも君に月に何回でも私が稼いだお金で材料を買って料理でもしてあげた方が私も申し訳ないと思う。 今も迷惑かけてしまって本当にごめんね。」

料理! その言葉にレンはびっくりした。 全く考えてもいない言葉を聞いたからだ。

高校の時、だから10年前に私の願いはいつもあなたと一緒にいることだった。 いや、一日に一度でも君の顔を見ることだった。 ところで、君の顔を見ることができる機会は週にたった一日、部活の授業がある日だけで、それ以外は休み時間に通り過ぎ、少しでも会うことを願うだけだった。

ところで、今は毎日会えるだけでなく、一緒に暮らせるなんて本当に幸せなだけだよ。 君のようにきれいで愛らしい女子高生と同居するようになるなんて私には本当に夢のようなことだけだよ。 だから、少しも謝る必要はない。 いや、私がむしろありがたいくらいだよ。

レンは心の中でアカリにそう言っていた。 正直、あかりがバイトに行くのは望んでいなかった。 アカリが大変なことも望まなかったし、少しでももっと一緒にいたいからだった。

「あかりちゃん。とりあえず出よう。」

レンは言いたいことは心に留めて言った。

「どこ行くの?」
「この近くにはおいしい店も多いから歩きながら行きたいところを探してみよう。 それともあな
たが食べたいものを言ってみて。」
「君の言う通り歩きながら探せばいいと思う。」

レンとアカリはレンの家を出て原宿駅裏の路地を歩き始めた。 まだ夕食の時間になっていないのに街には人がとても多かった。

レンは初めて会う間柄でもなかったのに、実際にそのように一緒に歩いていくとぎこちなかった。

ところが、あかりが近くにつきながら言った。

「レン君。そんなに離れて歩くとカップルっぽくないでしょ?」
「カップル?」
「じゃあ、カップルじゃないの? 同じ家で暮らすようになったから自動的にカップルだよ。 私たちは今日からカップルだよ。」

アカリの「カップル」という言葉にレンは胸がどきどきし始めた。 ちらっとあかりの顔を見ると化粧をきれいにしたせいか、普段よりもっと魅力的に見えた。 そして、死を考えていた女の子らしくなく、生き生きと見えた。
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