女子高生と同居することになった!

14話。同居する公開カップル

14話。同居する公開カップル

アカリが途方に暮れていると、突然レンが服が入っているショッピングバッグを床に置いてアカリをぎゅっと抱きしめた。 あかりはすぐにその理由に気づき、れんの背中を両腕で包み、抱き合った。

長い時間ではなかったのに、その時間はとても長く感じられた。 レンはあかりの耳にささやいた。

「ちょっと待って、このままでいて。」

しかし、二人が抱き合っていても通り過ぎる人々は関心もなかった。 時間が少し経つと、レンはアカリを巻いていた両腕を離しながら言った。

「もう安心していいよ。」

それからレンは再び買い物袋を両手に持った。

「レン君も中島君を見たんだね。」

あかりの言葉にれんが答えた。

「うん。私もびっくりした。 瞬間的に仕方なく君を抱きしめたんだ。 ごめんね。」
「あ、違う。 私もレン君がどうしてそうしたのかすぐ分かった。 あいつが今の君の姿は分からないだろうけど、私と出くわしたらすぐに私に気づいたはずだから。」
「とにかくもう過ぎたから安心してね。 こうなると知っていたら原宿に行って服を買えばよかったかな? ここは学校から遠くもなく、生徒たちがよく通っている所だから。」
「もう大丈夫だろう。 もしかしてまた誰に会うかな?」
「それはわからないことだから、とりあえずカフェに行こう。」

あかりはれんといっしょに遠くないところにあるカフェに入った。 それから、座るやいなやレンに言った。

「ちょっと待ってくれる? トイレに行ってくるよ。」
「うん。ゆっくり行ってきて。」

あかりはさっき買った化粧品をいくつか持ってトイレに行った。 そして、新しく買った赤い口紅を唇に塗った。 パウダーもより濃く塗り、アイメイクもより濃くした。

化粧を直した後、トイレから出るとレンはアカリの顔を見て言った。

「何?化粧直してきたの?」
「うん。今日はいつもより濃くしたけど、もう少し濃くした。 こうしたら誰が私を見てもよく分からないかな?」
「うーん、調べるにはもう少し詳しく顔を見なければならないような気がする。」
「これからレン君と一緒に出かけるにはかつらをかぶって歩かなければならないのかな? それともギャル化粧でもしようか?」
「そこまではしなくてもいいと思うけど?」
「とにかく濃く化粧するから違って見えるよね?」
「うん。普段とは全然違って見える。 清楚な感じはちょっと少ないけど。」

レンと一緒に行ったカフェは階段を上がると赤いドアがあったが、ドアを開けて入ると壁には器や盆やコップのような様々なきれいな物が棚に置かれていた。 そして外にはテラスもあった。

アカリは注文した紅茶味のスコーンとイチゴラテが出ると味見をして言った。

「うん!すごくおいしい! こんなにきれいなカフェをどうやって知ったの? 前にも来たことある?」
「いや、初めてだよ。」
「本当?」
「前から彼女ができたらここに来てみたかった。 ところで、28歳になるまで彼女がいなくてずっと来ることはできなかったんだ。」
「それでは未来の君には10年前からここに来てみたかったということだよね?」
「うん。」
「10年後にもこのカフェがあるの?」
「あるようだった。 途中でインテリア工事をして変わったんですけどね。」
「ところで、結局は過去にタイムスリップしてこのカフェに来ることになったねか?。」
「そうだね。彼女がいないから、代わりにあかりちゃんを連れてきたの。 実は高校の時から彼女ができたら一緒に行きたいところは多かったんだよ。」
「レン君は外見が劣らず、性格も悪くないし、将来プロ野球スカウトになったんだから能力がないわけでもないのに、どうして彼女がいないの? あなたに付き合おうと言った女性はいなかったの?」

あかりが尋ねると、れんはにやりと笑って答えた。

「私があまり人に会わなくて…···考えてみたらタイムスリップする前に野球団の事務室で働いていた女性職員が私に付き合おうと言ったことはあった。」
「え?どんな女なの? そのお嬢さんはかわいかった? そして性格はどうだった?」
「まあ、人物もいいし、性格もはつらつとしていた。」
「ところで、どうして付き合わなかったの?」

しかし、レンは薄い笑みを浮かべるだけで、答えなかった。 あかりはスコーンを指差しながらレンに尋ねた。

「これおいしいのに、なんで食べないの?」
「君がよく食べているようで。 お前、全部食べて。 もっと食べたければまた注文すればいいから、思う存分食べて。」

アカリはレンが笑いながら話す姿を見ながら心の中で考えた。

(一体私にどうしてこんなに優しくしてくれるの? 私は君にしてあげられることもない。 こんなに優しくしてあげたらすごく申し訳ないじゃない?)

アカリには今この瞬間に感じられる楽しい感情が実感できなかった。 前日の夜は何の希望もなく、行くところもなくて死を考えていたが、買い物をしながら欲しかった服や化粧品も思う存分買って、おいしいものも思う存分食べるなんて、なんだか嬉しいながらもぎこちなかった。

(人間に幸せと不幸を与えるその神様はこんなに少しでも幸せを享受させてくれて私を死なせようとするのだろうか?)

急に幸せな気分になると、なんだか不安にもなった。 おそらく、それはこんなに幸せな感じがしたことがないので、不安なのかもしれない。

レンはあかりを見つめながら尋ねた。

「何をそう思っているの?」
「何でもない。 こうして外に出てショッピングも一緒にして美味しいものも食べるから現実だと信じられなくて。」
「これからよくこうやって出たら信じられるよね?」
「よく出るの?」
「いくらでも。 現実だと信じられるほど頻繁に出よう。」

アカリはそう言って笑うレンの姿を見ながらなんだか嬉しかった。 自分の前に座っているレンをよく見ると、10年後のレンは高校時代のレンよりずっと格好よく洗練されているようだった。

***
あんなに明るいアカリの姿は初めて見たようだった。 アカリはその日レンと外出する間ずっとわくわくした表情で、家に帰ってきてもショッピングした服と化粧品を覗き見ながら喜びを隠せずにいた。

あかりは服と化粧品を片付けた後、居間で休んでいるれんに近づいて聞いた。

「もし言いたいことがあったらレン君の教室に行ってもいいよね?」
レンはあかりの話を聞いて考え、言った。
「ところで、訪ねてくることがあるかな?」
「まあ、知らないことだから。」
「ところで、君と話す姿を他の学生たちが見ると…···。」
「見たらどう? お前、私に告白したじゃないか? それで公開カップルで過ごそうかと思って。」
「あえてそうする必要があるだろうか? 言いたいことがあれば携帯電話で連絡してもいいし、家に帰ってからでなければ外出していくらでも話す機会があるはずなのに。」
「でも私はレン君と公開カップルで過ごしたい。 訳もなく人の顔色を伺いたくない。 それから、学校の中では同い年の学生カップルで過ごし、学校の外では10歳年上年下カップルで過ごすのも面白そう。」

アカリがそう言うからレンも嫌ではなかった。 いや、むしろ嬉しい気がした。

「公開カップルだって?」

レンはふと思い出して、カードをアカリに差し出した。

「これは何?」
「私のカードだからお金が必要な時に使って。」
「いいんだけど…···。」
「家を出た女の子のお金はどこにあるの?」
「それでも…···。」
「大人がくれるものをもらわないとダメだよ。」
「レン君って大人なの? 私と同じ高校生だよ。」
「でも外見はレン君より10歳年上だよ。君より10年長く生きて、過去にタイムスリップしたから。」
「そう、わかった。 年上として認めてあげる。 でも、私もおごってもらうわけにはいかないから、バイトの席を調べてみないと。」
「バイトしなくてもいいんだって。」
「無理はしないよ。」

翌日、あかりはれんに言ったように、学校の休み時間にれんの教室にやってきた。 そして教室のドアの前に立って、レンに外に出るように目を向けた。

レンは廊下に出てアカリに尋ねた。

「何か言いたいことあるの?」

すると、あかりはれんにだけ聞こえるような声で答えた。

「ただ会いたくて来たんだ。」
「後で家でも思う存分見るよ?」
「それでも。」

あかりは何の話もしなかったが、しばらくおしゃべりをしてから自分のクラスに戻った。 レンとアカリが話す姿を見たレンのクラスの女の子たちが話す声が聞こえた。

「なんだ?あの子たちは何の関係があるんだ?」
「そうだね?休み時間に来て呼び出すのを見ると すごく親しいみたいだね。」
「あの女の子、芹沢蓮と付き合ってるんじゃないの?」

レンはおそらく近いうちに自分のクラス全体、いや他のクラスまでもアカリと公開カップルとして噂になるという予感がした。

その日の夕方外に出て家に帰ってみると、あかりは料理をしていた。

「何してるの?」
「レン君にあげようとオムライス作ってる。 今日はいくつかの野菜だけ買ってきて作ったけど、今度はおいしい料理をもっとたくさん作ってあげる。 食卓の前に座って少しだけ待って。」

オムライスが出来上がると、あかりは卵の上にケチャップでハートを描いた後、れんの前に持ってきた。

「さあ、君のためのハートオムライスだよ。」
「ありがとう。いただきます。」

レンはオムライスを食べながら言った。

「あかりちゃん、料理上手だね。 私、未来でずっと一人で適当に作って食べたり、外で買って食べたりしたんだけど、こうやって誰かが料理したものを食べたのは本当に久しぶりだよ。 ありがとう。そして、本当においしい。」
「これからもたくさん作ってあげる。 おいしいそうでよかった。 でも、こうやって一緒に食べていると本当にカップルみたいだねか? それも外だけでデートするカップルではなく、まるで…···」

おそらくアカリは「新婚夫婦」と言おうとしたのだろう。 レンは自分とアカリが本当に新婚夫婦のような気がした。

その夜、レンは寝ようと横になっていたが、なかなか眠れなかった。 ベッドで寝返りを打っていると、突然あかりが悲鳴を上げ、泣き声が聞こえた。

(どうしたの?)

レンはアカリの声を聞いてベッドから飛び起きた。
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