女子高生と同居することになった!

2話. すみませんが、私は彼女を作るつもりはありません

2話. すみませんが、私は彼女を作るつもりはありません


レンはシユキの言葉を聞いて慌てた。 夕食をおごってくれと言う時、すでに彼女が自分に好感を持っていることは察したが、このようにすぐ告白するとは思わなかったためだった。
シユキはレンの目を見つめながら返事を待っていた。 しかし、レンは別の場所に視線を向けながら答えた。

「私は彼女を作るつもりはありません。」

レンの答えにシユキはがっかりした顔で尋ねた。

「私が嫌いなんですか? それとも彼女を作る気がないんですか?」

レンはもう一度シユキの顔を見た。 その程度なら人物が劣るわけでもなく、いやむしろ外見は優れた方に属し、男性がよく好むセクシーな魅力まで持っていた。 そして、愛嬌もある方なので、あえて好感と庇護感の中から選べと言うなら好感の方だった。

でも、シユキに少しでも好感があるように言ってはいけないと思って冷静に答えた。

「両方です。」

レンの言葉にシユキはショックを受けた様子だった。 もしかしたら彼女としてはずいぶん前からレンに告白しようと決心していたが、勇気を出して告白したのかもしれないことだった。 もしそうなら、レンの返事に衝撃を受けるかもしれないという気がした。
シユキは信じられないように聞き返した。

「まったく…···…私のことが嫌いですか。」
「正確に答えると、あえて嫌だというよりは私には合わないような気がします。」

あまりひどく傷つくのではないかとその程度で答えたのだが、シユキはその隙間を掘り下げた。

「私がそんなに嫌なのでなければ合わないというのは、まだ付き合ったこともないから分からないことじゃないですか? また付き合っていくうちに合わせていくこともできるのではないでしょうか。」

今は断固として答えなければならなかった。

「長谷川さん、申し訳ありませんが、私は今ガールフレンドを作るつもりはありません。」
しかし、シユキはなかなか諦められない女だった。
「それでは待っています。」
「え?待ってるんですか。」
「私が死ぬほど嫌なのでなければ、彼女と付き合いたいと思うまで待ちます。」
「長谷川さん。」
「え?」
「私を待っていては10年が過ぎるか、20年が過ぎるか分かりません。 そうしないで長谷川さんを好きになってくれる人を探してみてください。 長谷川さんを気に入ってくれる男性は多いと思います。」
「あの、でも理由でも言ってもらえませんか? なぜ彼女を作る気がないのですか? もしかして独身主義ですか?。」
「一応そう思っても間違いないと思います。 私はこれで失礼します。 気をつけてお帰りください。」

敢えてシユキを家まで乗せてあげる気はなかった。 女性と二人きりで車に乗るのも負担だったし、これ以上話すこともなかった。

レンはシユキに目礼をして駐車場に向かった。 そして家に帰りながら考えた。

「どうか私に関心を持たないでほしいんだけど……。」

数日後、外国人投手1人に対する契約が完了したことで、球団は来季にプレーする選手団の構成が完了した。 今は新しいシーズンの準備だけが残っているわけだ。

しばらくは選手を迎え入れるために外に出ることがあまりないので、オフィスに出勤することになった。

それでも外回りを主にする時は関係なかったが、レンは事務室で出会わなければならないシユキが負担になった。

シユキはレンと目が合うとにっこり笑ったり、出勤や退勤の時は優しく挨拶したりもした。 シユキが魅力のない女でもなく、普通の男ならそんなシユキの姿が良かっただろうが、レンにはそうではなかった。

2月のある日、会社に早く出勤したらシユキが一番最初に出勤して一人で席に座っていた。

「芹沢さん、こんにちは。早くいらっしゃいましたね。」

シユキはいつものように笑いながらあいさつした。

「はい、こんにちは。」

レンは淡々と挨拶をしながら席に座った。 ところが、テーブルの上に包装された何かが置かれていた。 それはチョコレートだった。
レンはシユキが自分の席に置いたものであることを察しながら包装を開けてみた。 中にはきれいな空色の封筒に入っているカードもあった。 レンはカードを取り出して読んだ。

<芹沢さん。 今日バレンタインデーだから準備したんです。 おいしく召し上がって頑張ってください。」

カードを読んでシユキをちらりと見ると、彼女は微笑んでレンを眺めていた。 レンはチョコレートを入れながら、「それでも感謝の気持ちを伝えたい」と思い、シユキに話した。

「ありがとう。 これ、他の方々にも差し上げるんですか?。」
「それは違います。 私が好きな人にだけプレゼントするんです。」

シユキはそう答えてからまたにっこりと笑った。 レンはトイレに行くために席を立ちながら言った。

「ありがとうございます。」

ところが、オフィスのドアを開けて出ようとするレンの後ろに向かってシユキが言った。

「私、諦めません。」
「何をですか?。」

レンが振り返って尋ねると、シユキは答えた。

「芹沢さんを諦めません。」

レンは答えずに事務所のドアを開けて出かけた。 そして、トイレに行って小便をした後、鏡を見て手を洗いながら考えた。

「そうだね。決心した。」

レンは翌朝、団長と会う約束をした。 レンは翌日、あらかじめ用意した辞職届を持って団長室を訪れた。 レンは団長室に入り,頭を下げてあいさつした。

「おはようございます。」
「いらっしゃい。 そこに座って。 お茶一杯あげようか。」
「冷たいものを一杯ください。」

団長の鈴木は冷蔵庫から飲み物を取り出して差し出しながらレンに尋ねた。

「これでいい?」
「はい、ありがとうございます。」
「昨シーズン、お疲れ様。 一生懸命走ってくれたおかげで良い選手たちをたくさん確保したし、チームの戦力も来シーズンは期待が大きい。 来季もよろしくね。」
「あの、団長。 実はこれのために…···…。」

レンはそう言いながら辞表を出した。 鈴木は辞表を見ながらレンに尋ねた。

「これは何か? 辞職届だって?…。」
「ずいぶん前から悩んだ末に決めました。」
「これはなんで乾いた空に雷なの? 芹沢さんがうちの球団でどれだけ重要な役割を果たしているんだ?」
「すみません。」
「もしかして他の球団から提案されたの? もしそうなら、私が球団オーナーに申し上げて年俸をもっと上げることもできるよ。」
「すみません。 そうではなく、休みたいので野球界を離れていようと思います。」
鈴木は辞表を出して読んでから言った。
「野球界を離れているって?」
「そうですね。」
「ストレスをたくさん受けたね。 それなら仕方ない。 後でもし帰りたければ、他の球団に行かずに必ずうちの球団に戻ってくるよ。」
「そうします。」
「お疲れ様。」
「はい、ありがとうございます。 これで失礼します。」

今度はフロントの家族に挨拶する番だった。 レンは事務室に行って運営チームとマーケティングチーム、広報チームなど各部署のチーム長と職員に会社を辞めることになったという事実を知らせながら挨拶した。

「いや、急にどうしたの? どうして辞めるの?」
「そうだね。 芹沢さんのおかげでうちの球団の戦力がこれだけ強化されたのに、大変だね」
「寂しくてどうしよう? 送別会でもしなければならないのに…···…。」
「そうだね。 送別会でもしよう。」
「私がまた遊びに来ます。」

みんなレンの手を握ったり、肩を軽くたたいたりして別れを惜しんだ。 レンは最後にシユキに近づいて言った。

「長谷川さん、お疲れ様でした。 私、行ってみます。」

レンは職員たちに挨拶をして事務所を出た。 エレベティアの前に歩いていると、誰かが後ろから歩いてくる音が聞こえて後ろを振り向くと、シユキだった。

「芹沢さん。」
「長谷川さん。」
「もしかして私のせいで逃げるんですか?」
「長谷川さん、誤解しないでください。 長谷川さんが人食いの幽霊でもないのに、なんで逃げるんですか? ただ休みたいのでやめておくんです。」
「それが本当なら芹沢さんの携帯番号を教えてください。」

レンは一瞬、困ったが業務用でサブフォンとして使う携帯番号をシユキの端末に入力してくれた。

「後で連絡するので、必ず受け取ってください。」
「はい、その間ありがとうございました。」

レンはシユキに挨拶をしてエレベーターに乗った。 会社の建物を出てきて、物足りなさとすっきりした感情が交差した。

実は数ヵ月前から激しいストレスのため退職を悩んでいた。 能力も認められて多くない年齢で国内スカウトチーム長になり、以後海外スカウトチーム長候補にまで取り上げられていたレンだった。 ところで、野球が好きで始めたことだったが、その好きな野球のせいで何年もストレスを受けてファンとして野球を楽しみたいと思った。

会社を辞めたのがシユキのためではなかったが、一方ではレンに決心を固める結果をもたらしたのは事実だった。

レンが車に乗るやいなや業務用携帯電話にメッセージが入ってきた。

-私、シユキです。 私の心臓を爆撃しておいて、 こうやって急に離れたらどうするんですか?
レンは続きを読み続けた。
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