ごめん、キミが好き《短編・完結》
朝7時…
眠い…
今日も仕事か…
なんて思いながら私は軽く片目だけ開いて目覚ましを止める。
「んん〜…。」
カーテンの隙間から差し込む春の陽射しが私には痛い。
また飲みすぎちゃった…。
「ユイ、おはよう。」
「!!!」
その決して低くない声とほぼ同時に、唇に触れる暖かい感触が私のあくびを止めた。
目を開ければ天使みたいに綺麗な瞳と一緒に、悪魔の八重歯をのぞかせた笑顔のタクマがいた。
「ユイはいちいち反応が可愛いね。」
目を細めて私を見下ろしてる。
「タクマ…毎日キスして起こすのやめてってば。」
赤くなってるはずの顔を冷静に装って、私は起き上がる。
「だってさ、ユイの寝顔、めちゃくちゃ可愛いんだもん。」
冗談のように、でも真顔に近いほほ笑みでいつも残酷な事を言う。
可愛いって…。嘘ばっかり。
「キスする必要はないでしょ…?」
冷たく言い放っても…
「ユイにキスしないと、俺の1日が始まらない。」
そう言ってそっとベッドに腰掛けるタクマは、私の唇を親指でなぞる。
静まれ心臓。
「やめてってば。」
余裕を含んだタクマの行動に、私はさらに拒絶を示す。
手を振り払われたタクマはぶすっとそっぽを向いた。
その横顔は、やっぱりまだあどけない。