極上御曹司の純愛〜幼なじみに再会したら囲い込まれました〜

偶然の再会

「すすすみません！　どうしよう……！」
「大丈夫ですよ、このくらい。それよりもあなたのドリンクを台無しにしてしまって申し訳ありません」

両手を上げて汚れてしまった自らのスーツを眺めてから、何事もないような返事をする男性。
汚した相手に対して文句を言うどころか、気遣いある言葉をかけてくれる。


——私、天河美詞（あまかわみこと）は保育園での早番の仕事を終え、子供たちとめいいっぱい遊んで疲れたご褒美にと帰宅途中、自宅の最寄り駅前にある海外ブランドの珈琲店へと立ち寄った。

以前から飲んでみたかった秋限定のドリンク。
仕事が早く終わった解放感と限定ドリンクを飲めた喜びに浮かれて、前を見ていなかった。

突然左肩にドンッ！　という軽い衝撃を受けて体が翻り、サングラスをかけた背の高い男性とぶつかってしまった。

見るとカップいっぱいに盛られていた生クリームは見事に形をなくし、ぶつかった男性のスーツの胸から膝にかけベッタリとクリームが流れ落ちていた。

「本当にすみません！」
「気にしないでください」

私は慌ててリュックからハンカチを取り出し、失礼を承知でスーツに垂れているクリームを拭き取ろうとした。
なのに男性は身を引き手のひらを私に向ける。