秘密
 おかしいな。普段、秘密なんか見えなかったらいいのにって思っていたのに。
 気が付けばその笑顔の裏側を知りたくて仕方ない。
 さっき私は真逆の事を言っていたのに。

「ね……また誘ってもいい?」

 気が付いたときにはそう言っていた。彼はにへらと笑う。

「何ー、積極的だね、理世ちゃん」
「うん」

 一瞬、彼は真顔になった。引きつったように口の端が歪んだ。薄い唇がぴくぴくとして、無理矢理笑おうとしていた。
 思ったよりも警戒されていてることに若干傷つきながらも、その警戒を解こうと彼と同じように笑った。
 
「なんてね、びっくりした?」

 と意地悪気に言えば「……性格悪い」と不貞腐れてしまった。

 オムライスもなんとか完食し、どちらともなく、帰り道手を繋いだ。私はその繋がれた手を凝視すると「何、恥ずかしい?」と先ほどの意趣返しのような言葉をかけられた。
 彼と顔を合わせても、何も浮かんでこない。ただただその手の厚みと大きさを感じて「大きな手だね」と半ば感動してしまい、彼は呆れたように笑った。
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