秘密
確かに大分仲良くなった。
 最初のデートの時より、今は気が楽で―――それでも心は開かない。

「何呑む?っていうか今日ペース、早くない?」
「別に、そういうわけじゃないけど」

 私はまだ梅酒を呑んでいるのに、もうビールのジョッキが二個空になっている。私もマグロを摘まんだ。美味しい。
 お酒で火照らされた顔と対称にどこか目は据わっている。メニューを手渡してやろうと差し出すが、彼は手のひらを向けて拒否し「ビールで」と言った。私が頼んでやるとそのやけ酒のわけを聞いてやることにした。

「いつも気張り詰めているけど、今日はなんだか…」
「何」
「荒れてる」

 もしかしたら触れたら、秘密を暴けるかもしれないと思うくらいには隙がある。
 ぴくり、と身体が強張ったのも正解だったからだろう。
 彼は柔らかく否定した。

「そんなことないけど。理世、心配してくれてる?」
「勿論。当たり前だよ」
「相変わらずいい女だなあ」
「でしょ」
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