秘密
 どんどん理世の思想に惹かれていく自分がいて、自分も理世に受け入れてほしくて…守ってくれるんじゃないかと期待する自分を情けなく思った。理世もどんどん俺を好ましいという目線で追いかけてくる。嬉しく思う反面、ずっと俺を巣食う過去の記憶にその手を伸ばすことを躊躇させる。今でもときたま見る夢だ。毎日毎日その大きな手が俺を襲い、引きづりこんで、めちゃくちゃにするのだ。

 朝、冷汗をぐっしょりかいて汚れてしまった下着を全て洗濯機に投げ入れる。
 ドラム式洗濯機が最初はゆっくり、後はどんどん回転していく。
 いつになったら解放されるんだ、と何度も巡ってくる地獄を無抵抗に受け入れていた。

 剣持まどかに好意をもたれている、と知ったのは地元の友人が教えてくれたことがきっかけだった。同じ地元で、俺のことも噂で知っていたという。俺は即座に何も教えてくれるな、と言った。地元の人間が知っているあの秘密を勿論剣持まどかは知っていて、それでも俺を気に入っているという。秘密で荒れていた時代の俺を知っているらしく、余計に質が悪い。あの頃は手あたり次第女を貪っていたからもしかしたらその中に剣持まどかはいたのかもしれない。
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