厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
(だけど、私には耐えられる気がしないわ……)
これ以上、好きにならないほうがいい。でないと選ばれなかったとき、立ち直れる気がしないから――。
心を守るために、ブレーキをかけるしかなかった。
花離宮のサロンでは、淑女教育のための勉強会が開かれていた。
長年社交界で活躍してきたという貴婦人の言葉に、参加した令嬢たちが耳を傾けている。
フランもその中に交じり、相槌を打ちながら研鑽に励んでいた。いくつか席を挟んで、シルビア姫の姿もある。
シルビア姫は、その中でも偉才を発揮していた。講師がどんなに難しい質問を投げかけたとしても、機知に富んで的確な答えを返してしまう。
何度目かの感嘆のため息をつきながら、講師が言った。
「素晴らしい知識の広さだわ。シルビアさん、あなたの国の教育レベルは最高水準ね。私の出る幕はなさそうよ」
「そんなことはありません、先生。わたくしの国は中立の宗教国なので、多国籍な民との交流があります。そうした中、さまざまな情報が入ってくるというだけのことで……」
これ以上、好きにならないほうがいい。でないと選ばれなかったとき、立ち直れる気がしないから――。
心を守るために、ブレーキをかけるしかなかった。
花離宮のサロンでは、淑女教育のための勉強会が開かれていた。
長年社交界で活躍してきたという貴婦人の言葉に、参加した令嬢たちが耳を傾けている。
フランもその中に交じり、相槌を打ちながら研鑽に励んでいた。いくつか席を挟んで、シルビア姫の姿もある。
シルビア姫は、その中でも偉才を発揮していた。講師がどんなに難しい質問を投げかけたとしても、機知に富んで的確な答えを返してしまう。
何度目かの感嘆のため息をつきながら、講師が言った。
「素晴らしい知識の広さだわ。シルビアさん、あなたの国の教育レベルは最高水準ね。私の出る幕はなさそうよ」
「そんなことはありません、先生。わたくしの国は中立の宗教国なので、多国籍な民との交流があります。そうした中、さまざまな情報が入ってくるというだけのことで……」