厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
焦れるような観察のあと、重みのある口元が開いて、問いかけられた。
「……おまえは獣人の能力を持ち合わせているのか? 絶滅に近いと聞いていたが」
「は、はい……。国の皆は普通の人間ですが、私は先祖返りと呼ばれています」
「私が尋ねた聖獣の伝承については?」
「申し訳ありません。それについては、本当に詳しくないのです……」
単刀直入にぶつけられる質問に、甘さはない。やはり彼は、怒っているのだ。
「その言葉が真実かどうかは、今後、調べさせてもらうことにするが……」
ライズが立ち上がり、こちらに近づいてくるとわかって、フランの心臓が大きく跳ね上がった。
目の前に来た彼は、フランの座る椅子の肘かけにそれぞれ手を置き、覆い被さるようにして身を屈めてくる。その圧迫感に耐え切れず、目をぎゅっと瞑って肩を縮こまらせた。
叩かれるのかもしれないという考えが頭をよぎったが、訪れたのは柔らかな接触。
そっと壊れ物を扱うかのように、髪を――柔毛に包まれた耳を撫でられていた。
「陛下? あの……」
「……おまえは獣人の能力を持ち合わせているのか? 絶滅に近いと聞いていたが」
「は、はい……。国の皆は普通の人間ですが、私は先祖返りと呼ばれています」
「私が尋ねた聖獣の伝承については?」
「申し訳ありません。それについては、本当に詳しくないのです……」
単刀直入にぶつけられる質問に、甘さはない。やはり彼は、怒っているのだ。
「その言葉が真実かどうかは、今後、調べさせてもらうことにするが……」
ライズが立ち上がり、こちらに近づいてくるとわかって、フランの心臓が大きく跳ね上がった。
目の前に来た彼は、フランの座る椅子の肘かけにそれぞれ手を置き、覆い被さるようにして身を屈めてくる。その圧迫感に耐え切れず、目をぎゅっと瞑って肩を縮こまらせた。
叩かれるのかもしれないという考えが頭をよぎったが、訪れたのは柔らかな接触。
そっと壊れ物を扱うかのように、髪を――柔毛に包まれた耳を撫でられていた。
「陛下? あの……」