紅色に染まる頃
「美紅ちゃん、これはどう?」
「素敵!お星様と雪の結晶?」
「そう。ショコラのケーキだから、飾りはシンプルに白で」
「エレナさん、もはやパティシエですね。本格的で有名店のケーキみたい」
「ふふ、ありがと。美紅ちゃんのオードブルもとっても美味しそう。ピンチョス、つまみ食いしてもいい?」
「ええ、どうぞ」
「んー、美味しい!早くワイン飲みたいわ」

カウンターキッチンで美紅とエレナが料理をする傍ら、伊織は紘と土地の契約について話をしていた。

「あの土地は、小笠原名義のままでいきたい。売却ではなく、リースという形でもいいかな?」
「もちろんです。具体的な契約期間や額については、弊社の社長を通して改めて提示させて頂ければと」
「分かった。ぼったくるつもりはないから、安心してくれ」
「あはは!」

和やかに話はまとまり、皆で美紅とエレナが作った食事を囲んだ。
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