紅色に染まる頃
第十六章 紘の想い
12月の仕事納めの日を終えると、美紅は屋敷で年末年始を過ごすことにした。

母や祖母と一緒におせち料理を作り、新年を迎えると初詣に出掛ける。

「今年は大きな挑戦の年。どうか無事に乗り越えられますように」

手を合わせて祈り、家族皆の健康を願う。

明日からの仕事初めに備えて、そろそろマンションに戻ろうかと思っていた1月4日。

美紅は真剣な顔で紘に呼ばれた。

「美紅、お前、エレナから連絡来てないか?」

えっ…と美紅は思わず身を固くする。

「やっぱり何か知ってるのか?!エレナは?あいつは今どこにいるんだ?」

いつも大人の余裕を漂わせている紘が、見たこともない程取り乱している。

「落ち着いて、兄さん。どうしたの?エレナさんに何かあったの?」
「分からないから聞いてるんだ!」

きつい口調で言った後、紘はうつむいて小さく「ごめん」と謝る。

「最初から説明して。何があったの?」

美紅が真剣に見つめると、紘は大きく息を吐いてから話し始めた。
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