紅色に染まる頃
数日後。
旧華族が一堂に会して新年を祝う催しが開かれた。

毎年同じ時期に集まり、近況を報告したり親睦を深めるのだが、今年はどうやら雰囲気が違っていた。

本堂リゾートと手を組んで事業を進めている小笠原家から説明を求める、というのが今年の主旨らしく、紘と美紅も必ず出席するように、と上の階級の当主から直々にお達しがあった。

当日になり、振り袖に身を包んだ美紅は、心配そうに紘の様子をうかがいながら会場に向かう。

未だにエレナと連絡が取れずに憔悴し切っている紘を欠席させたかったが、紘は頑なに、自分が説明すると言って聞かなかった。

事情を知った伊織が自分も同席しようかと言ってくれたが、状況次第では火に油を注ぎかねない。

ありがたいが、まずは自分達で説明すると、美紅は伊織の申し出を断っていた。

(兄さんの分までしっかりしなければ)

美紅は気を引き締めて、紘と共に会場に足を踏み入れた。
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