悪戯心と悪い男

一章:邪魔

とある、休日の昼下がり。

「こういうふうに、2人で向かい合ってごはん食べれるのって何かうれしいよね」

まぁ、私の方なんて見てないけどさ…

携帯を片手に、黙々と画面見ながら食べてる彼氏にそう言うと

「あー、うん。だよね」

空返事のように画面だけを観ながら
黙々と食べてるような気もするけど…

言うんだ。今、このタイミングで。

「どうせだったら、このまま一緒に暮らしちゃう!?」

なんておちゃらけた感じで付き合って1年になる
彼氏、関谷功太(24)にそう言ってみるものの

そんな私の言葉に、箸が止まってしまい
ゆっくりと私の顔を見上げている。

「え、一緒に暮らすのはちょっと…」

気まずそうにそう一言。


「あ…そ、そうだよね。冗談だよ、冗談!」

そう言いながら笑ってはみたものの


そこからの

「やっぱ友達に戻ろっか」

という実質的な別れ話に繋がるなんて
誰が予想できただろう。


「あー…そうだね、うん。分かった。
またみんなで飲んだりしよ」

なんて、こんな時にも笑いながら言っちゃう私は可愛げの欠片もない。

バイバイと笑顔で手を振り
家に入っていく功太の後ろ姿をボーッと眺めている。


何だったんだろう、この一年って。

そんな事をグルグル考えながら歩いてたせいなのか
この買ったばかりの履き慣れないミュールのせいなのか…

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