悪戯心と悪い男
「おい、邪魔」

そんな乱暴な言葉と低い声が聞こえたこの現状は…

まさに、今
この方の目の前で、野球少年の滑り込みセーフのような素晴らしいコケ方をした直後であり
まだ立ち上がってもいないのは当然で

「すいません…」

慌てて立ち上がり、散らばったバッグの中身を拾い集めているんだけど

拾いながら何だか、もう
さっきの出来事を思い出して
涙が止めどなく流れている。


「ガキじゃねーんだから
コケたくらいで泣くなよ」

そう言いながら、手前に落ちていた私の携帯を差し出している。


「そんなとこに座り込まれてたら邪魔。
ほら、さっさ立て」

服についた砂を払いながら
私を立ち上がらせると

「鼻水たらしてクソガキじゃねーか」

バカにしたように
呆れた笑いをだいしている。
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