捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした
今日は秋に予定している結婚式の打ち合わせのため、式場へ出向くことになっている。
「父に聞いたが、君は林田さんを通じてうちの両親や親戚に結婚式の要望を確認したそうだな」
亮介は運転をしながらちらりと凛に視線を向ける。
「はい。色々と決めてからだと変更も大変だと思ったので、なにかこだわりや決まり事があるのなら先にお伺いしたくて。でも先日お電話でお義母様が私の好きにしていいと仰ってくださって……」
「俺も気にしなくていいと言っていただろう」
「亮介さんは優しいので、もしなにかあっても私には伝えなさそうじゃないですか」
指摘が図星だったのか、亮介は少し不貞腐れたような顔をしている。その表情がおかしくて、凛は頬を緩めた。
「結婚式の主役は花嫁の君だ。秘書であることは忘れて、ふたりで凛の理想の式を作っていこう」
大企業の御曹司である亮介の結婚式にもかかわらず、本人だけでなく社長や夫人までも「お金は出すからふたりの好きにしたらいい」と言ってくれている。
それをありがたく感じながら、凛は自分の理想の結婚式について考えた。