捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした
社会人になり、少ないながら何度か結婚式に出席したことはあるが、自分が式を挙げるならといった観点から見ていたわけではないので、パッと思い浮かぶ理想の演出などはない。
どの式も高砂に座る新郎新婦が幸せそうで、ゲストがそれを祝福している、とてもあたたかい空間だった。
「では……来てくださった皆様に楽しんでいただける式にしたいです。結婚式はお料理を楽しみにされる方が多いと聞きますし、そこはこだわりたいです。あとは定番ですけど、母への感謝を伝える場は欲しいかなと思っています。花束とかお手紙とか。亮介さんはどうですか?」
運転席に視線を向けると、信号待ちで停車している彼の大きな手が伸びてくる。
「君は……本当にどこまでも自分より周りなんだな」
凛の緩く巻いた髪を指先でもてあそぶ亮介から柔らかな笑顔を向けられた。
「俺はそういう健気で優しい凛を、一生隣で甘やかしたい」
唐突に告げられた甘いセリフに、凛は言葉をなくして彼を見つめる。
「君の要望はすべて叶える。あとは花嫁といえばドレスだろう。オーダーで凛にぴったりのドレスを作ろう」
「えっ?」