捨てられ秘書だったのに、御曹司の妻になるなんて この契約婚は溺愛の合図でした
先程会社で家庭の事情について話してしまったため、気を遣わせてしまったに違いない。
「いっ……いただけません! そんなつもりで話したわけじゃ」
「わかっている。だが婚約者にプレゼントするのは不自然じゃないだろう」
「婚……っ⁉」
凛は絶句したが、亮介は至って平然としている。
たしかに結婚を申し込まれて入るものの、まだ承諾した覚えはない。
「待ってください、副社長」
「気に入らなかったか?」
「いえ! ソルシエールは昔から憧れのブランドですし、どの商品も素敵なお洋服ばかりでしたけど」
「ならば受け取ってくれ。今後、新ブランドの完成披露に向けて会食やパーティーへの参加も多くなる。持っていて損はしないはずだ」
「ですが」
「ここで押し問答していても、店の迷惑になるだけだぞ」
亮介の言葉にハッとして視線を泳がせると、担当してくれていたスタッフ数名が困ったようにこちらを眺めている。