それでもキミと、愛にならない恋をしたい

事故に遭いかけたところを先輩に助けられた話を、京ちゃんには伝えていない。

だから今の私の感情をどう説明したらいいのかわからなかった。

「うーん、なんていうか、推しは遠くから愛でていたいというか……」
「えー、なにそれ!」

半分冗談、半分本気で言った言葉に、京ちゃんはケラケラと笑う。

〝推し〟なんて先輩に使うのは失礼かもしれないけど、この気持ちを京ちゃんのように恋心に昇格させるのは、正直怖い。

学校で一、二を争う人気者の先輩に対し、私は至って平凡な女子高生でしかない。

京ちゃんのように美人でもなければ、スタイルがいいわけでもない。

女子の平均身長に、太っても痩せてもいない体型。中学時代にソフトテニス部だったせいで肌は焼けていて白くないし、肩まで伸ばした髪は真っ黒で太いせいでスタイリングがしにくい。

顔立ちはよく小動物系だって言われるけど、人より多少黒目が大きいだけ。

< 10 / 272 >

この作品をシェア

pagetop