それでもキミと、愛にならない恋をしたい

 新しくできたアトラクションを知ってるのは、調べてくれたってこと? 先輩も私と同じくらい今日を待ち遠しく感じていたの?

「からかってない。嬉しいって思っただけ」
「……嬉しい?」

 私が首をかしげると、楓先輩は小さく肩を竦める。

「ほら、行くぞ。久しぶりなら、まずは一周回るか? それとも気になるやつに片っ端から乗ってく?」

 はぐらかされた気がするけど、今は遊園地を目一杯楽しもうと気持ちを切り替えることにした。

「乗っていきましょう。先輩は絶叫系、平気ですか?」
「うん。菜々は?」
「あんまり乗ったことなくて。でも楽しそうだから乗ってみたいです。高いところも好きだし」
「じゃあ徐々にレベル上げてく感じにするか」
「楓先輩は物足りなくないですか?」

 私に合わせて先輩が楽しめなかったら意味がない。そう思って尋ねると、先輩は当然と言わんばかりに言い切った。

< 105 / 272 >

この作品をシェア

pagetop