財閥御曹司の独占的な深愛は 〜彼氏に捨てられて貯金をとられて借金まで押し付けられた夜、婚約者に逃げられて未練がましい財閥御曹司と一晩を過ごしたら結婚を申し込まれました〜
「そうか。じゃあコーヒーでももらうか」
 スーツが足を組んで座る。
 柄シャツは隣にどかっと大股を開いて椅子に座った。
「嫌かもしれないけど、ちょっとここで待ってて」
 彼は千遥を座らせ、バイトにコーヒーを淹れるように指示した。
「外は寒かったでしょう」
 海里はにこにことコーヒーを配る。バイトが持って来たパウンドケーキを受け取り、彼らに出した。
「気がきくじゃねえか」
 柄シャツがケーキにフォークをぶっさしてかぶりつく。
「なかなかうまいな」
「お口にあってうれしいです。ダイオウグソクムシ入りケーキです」
 直後、ぶっと噴き出した。
「汚ねえな!」
 スーツが怒る。
「お気に召しませんでしたか」
「ふざけんなてめえ!」
「やめろ」
 怒る柄シャツをスーツが止める。
 千遥はちらっと時計を見た。ぜんぜん針が進んでいる気がしなくてイライラした。
「お仕事、大変ですよね。マリーナは遠いでしょう?」
「機嫌をとっても借金は減らないぞ」
「私も社長をやっていると借金することがありましてね。そちらさんはどういうシステムになってるんでしょうか」
「貸し出しの担当じゃねえから知らねえよ」
「お名刺いただけますか」
 スーツは懐をさぐると、だん、とテーブルに置いた。
「頂戴いたします」
 まるでサラリーマンのように、海里は名刺を押し頂く。
 彼が手をふるとバイトが彼の愛用のノートパソコンを持って来た。ぱかっと開いて電源を入れ、なにかの操作をした。
「お話伺いたいなあと思ってたんですよ。人生経験が豊富でいらっしゃる上に、法律にも詳しくていらっしゃるようで」
「今は法律で厳しいからな」
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